専門学校はたくさんあるし、情報も多くあり過ぎる割には身近な専門学校について詳しくは知らないので、本当に行っても大丈夫なのか心配。
耳や目にする割には、専門学校のなにがいいのかがイマイチ分かりにくいと感じている人は少なくはないのではないでしょうか?
そこで、本記事では専門学校はどんなものなのか、次の3つのポイントを中心に解説していますので、本当に行っても大丈夫かどうかの判断基準にして頂ければと思います。
専門学校へ行く「メリット」にはどんなものがあるのか?
専門学校へ行く「デメリット」はあるのか?
専門学校を調べていると出てくる「よくある疑問」について
専門学校への進学を検討しているものの、とりあえず進学を考えている人や、なんとなくで考えている人は、専門学校へ行くとなにが良いのかが本記事を読めば分かります。
具体的に進学先を決めるためにも、早速、読み進めて行きましょう!
専門学校とは
専門学校は学校教育法で定められた、専修学校のなかで「より高度な専門的技術・技能の習得を 目指す教育機関」という正規の学校です。
専修学校は実践的な職業教育、専門的な技術教育を行う教育機関で、「職業もしくは実際生活に必要な能力を育成し、または教養の向上をはかる」ことを目的とする学校とされています。
一方、専門学校は技術や技能をさらに高度に向上することを目的に創設。
専門学校は専修学校のなかで、高校卒業(中等教育後期修了)後の高等教育機関として「専門課程」がある学校です。
専門学校には、学科によって1年制〜4年制まであり、文部科学省によると全国に約2,800校存在し、約66万人が学んでいるとしています。
また、2年制以上の学科を卒業すると短大卒と同等以上の学力があるとした「専門士」、4年制以上の学科を卒業すると大卒と同等以上の学力があるとした「高度専門士」の称号が授与される場合も。
そして、高校生の専門学校への進学率は24%で4人に1人の割合、高校新卒の割合は約7割近く、残りは社会人や留学生などが学んでいます。
このように、専門学校はレベルの高い職業人を育成することを目的とし、多くの高校卒業者が通学する、法律でも認められたれっきとした学校です。
出典:文部科学省 令和3年度学校基本調査(確定値)報道発表資料、公益社団法人東京専修学校各種学校協会 調査1 令和3年度 在籍調査、文部科学省 専修学校 SPECIALIZED TRAINING COLLEGES 君たちが創る未来のために
専門学校へ行く6つのメリットや特徴
では、専門学校へ行くメリットにはどのようなものがあるのでしょうか?
専門学校へ行くメリットには、大きく次のような6つのメリットがあります。
①正規の学校だから学割や奨学金など学生のもつメリットが受けられる
②同じ目標を持った仲間ができるから挫折しにくい
③自分の進みたい業界や職種の就職に強い
④就職前に仕事で自分に必要なコトが確認できる環境がある
⑤「大卒」や「短大卒」と同等学歴の称号が取得できることも
⑥専門学校からその先への進学も可能
それぞれについて詳しく確認していきましょう。
①専門学校では学校のもつメリットや独自の長所がある
専門学校は都道府県知事や教育委員会など、公的機関から認可を受けた正規の学校ですので、「学校の持つメリット」はもちろん、専門課程のある専修学校としての長所もあります。
また、資格取得を目指す場合にいろいろ調べていると、専門学校に似ている○○スクールなど、専門学校ではなさそうな教育機関の存在も確認した方は少なくはないのではないでしょうか?
そういった教育機関が「ダメ」という訳ではありませんが、専門学校との違いは「公的機関から認可を受けている」かどうかです。
以下の表に専門学校の持つメリットと同時に、無認可校との比較をまとめました。
専門学校 | 無認可校 | |
学割 | 〇 | ✖ |
奨学金 | 〇 | ✖ |
国の教育ローン | 〇 | ✖ |
修学支援新制度 | 〇 | ✖ |
通学定期 | 〇 | ✖ |
大学3年次への編入 | 〇 | ✖ |
学歴 | △ | ✖ |
就職支援 | 〇 | ✖ |
勤労学生控除 | 〇 | ✖ |
国家資格の取得 | 〇 | ✖ |
突然の閉校 | ✖ | 〇 |
表の通り、学生のメリットであるものが専門学校でも適用されます。
また、専門学校卒は学歴にならないといったイメージが少なくありません。
なぜなら、表で学歴に△とあるように、1年制の学科や「専門士」、「高度専門士」の条件を満たしていない場合には学歴とはならないからです。
一方で、条件を満たした場合には「短大卒」や「大卒」と同等とみなされます。
さらに、特定の分野では専門学校などで学ばないと取得のできない国家資格があるなど、特定の分野に特化しつつ学歴も確保できるのは、専門学校独自の長所とも言えるでしょう。
加えて、専門学校では公的機関が就労への支援を行うなどのメリットも。
そして、学校法人として経営が悪化しても行政が介入して卒業までは確保されることもメリットの1つです。
②専門学校では同じ目標を持った仲間ができるから挫折しにくい
専門学校は学校教育法でも「より高度な専門的技術・技能の習得を 目指す教育機関」とされているように、入学者は特定の分野の同じ業種を目指すために勉強に励みます。
同じ資格、同じ業種を目指すため考え方が似ている人が多く、共通の話題も少なくありません。
また、悩みを抱えても共有しあえる仲間がたくさんいます。
ときに切磋琢磨し、高めあい、一緒に頑張れる環境が専門学校では自然と整うため、挫折しにくいことも専門学校のメリットです。
③専門学校は自分の進みたい業界や職種の就職に強い
専門学校の最大のメリットはやはり、資格取得です。
特に、働きながらでは取得の不可能な正看護師など、学校を卒業することが国家資格受験資格となる資格は、社会から非常に高い需要があります。
また、卒業が条件でない国家資格では、働きながらでも取得ができる資格もありますが、勉強時間を確保することは簡単ではありません。
働きながらの取得は、実際に多くの人が挫折をしているのが現状です。
しかし、専門学校に通えば勉強はもちろん、資格試験対策などのサポートを受けられるだけなく、国家資格に関連する資格なども取得に向けてのサポートがあります。
加えて、実習などもあることから、知識だけでなく技術も学ぶことができ、そういった人材を欲しがる企業は少なくありません。
専門学校には全国から多くの新卒枠求人が寄せられていますので、自分の進みたい業界や職種への就職がしやすいことも大きなメリットでしょう。
④専門学校では就職前に実習やインターンシップで仕事で自分に必要なコトが確認できる
専門学校では実習やインターンシップに行きますが、その時に自分が学んできたことがどれだけ通用するのかを確認することができます。
実習やインターンシップで分からないことやできなかったことがあれば、それが卒業するまでに克服すべき課題です。
これがもし、学生としてではなく就職してぶつかる壁であれば、働きながら解決していかなければなないため、時間や精神、肉体的に負担となることでしょう。
専門学生のうちであれば、卒業までに克服する時間や環境が十分に整っています。
そういった、社会に出るまでに自分に必要なコトが確認できることは、専門学校の大きなメリットだと言えるでしょう。
⑤専門学校では「大卒」や「短大卒」と同等学歴の称号が取得できることも
専門学校では、以下の条件を満たす学科(課程)を修了することで「短期大学卒業者と同等以上の学力」があると認められる「専門士」、「大学卒業者と同等以上の学力」があると認められる「高度専門士」の称号が得られます。
専門士
①修業年限が2年以上
②総授業時数が1700時間(62単位)以上
③試験等により成績評価を行い,その評価に基づいて課程修了の認定を行っていること
引用:文部科学省 専修学校 SPECIALIZED TRAINING COLLEGES 君たちが創る未来のために
高度専門士
① 修業年限が 4 年以上
② 総授業時数が 3,400 時間(124 単位)以上
③ 体系的に教育課程が編成されていること
④ 試験等により成績評価を行い,その評価に基づいて課程修了の認定を行っていること
引用:文部科学省 専修学校 SPECIALIZED TRAINING COLLEGES 君たちが創る未来のために
これらの称号を持っていれば、公務員では「短大卒」や「大卒」と同額の給料に。
また、民間でも「短大卒」や「大卒」と同じ給料としている企業も増えてきています。
資格だけでなく、学歴も重要視をしたいのであれば、「専門士」や「高度専門士」の称号が得られる学科へ進学するのも1つの手段です。
⑥学びをもっと深めたければ専門学校からその先への進学も可能
専門学校のなかには、「大学3年次への編入」や「大学院入学資格」が得られる学科があります。
条件としては以下の通りです。
大学3年次への編入
① 修業年限が 2 年以上で,総授業時数が 1,700 時間(62 単位)以上の専門学校の修了者
② 高等学校卒業や高等学校卒業程度認定試験合格者など,大学入学資格を有する者
引用:文部科学省 専修学校 SPECIALIZED TRAINING COLLEGES 君たちが創る未来のために
大学院入学資格
① 修業年限が 4 年以上
② 総授業時数が 3,400 時間(124 単位)以上
③ 体系的に教育課程が編成されていること
④ 試験等により成績評価を行い,その評価
に基づいて課程修了の認定を行っていること
引用:文部科学省 専修学校 SPECIALIZED TRAINING COLLEGES 君たちが創る未来のために
先ほどの「専門士」や「高度専門士」の称号が得られる学科であれば、編入や進学が可能ということになります。
さらに、「学びを深めたい」「どうしても学歴が欲しい」「高校卒業時には大学への進学は考えていなかったが考えが変わった」といった場合でも、専門学校卒業に挑戦が可能です。
専門学校へ行くデメリットはないのか?
では、専門学校へ行くことにデメリットはないのでしょうか?
結論から言いますと、「目的によってはデメリットはある」と言えます。
なぜなら、専門学校は各分野のスペシャリストの育成が目的のため、資格取得や実践力を高めるためのカリキュラムが次のような人には負担となりえるからです。
・目的無く進学したために、在学中に通っている分野以外に興味のある分野を見つけた
・勉強以外のことにもたくさん挑戦したい
・サークル活動に力を入れたい
どういうことなのかそれぞれ確認していきましょう。
将来目指す業種の変更が難しい
専門学校ではその性質上、通っている学科以外の分野への変更は、また一からやり直すのと同じになってしまいます。
例えば、看護師を目指して専門学校に入ったものの、自動車整備士になりたくなったといった場合には、看護学校へ行っていた期間は自動車整備士の学校には換算されません。
看護学校へ通うために支払った少なくない学費は戻ってきませんし、時間も戻ってこないので、進路変更は簡単ではないでしょう。
勉強以外のこともしたい人にとっては時間が大学ほどない
高校を卒業して、勉強以外のことにもチャレンジしたり、楽しみたい!
といった人にとっては、専門学校の特徴である「充実した授業時間」はデメリットとなることも。
専門学校の半数以上が2年制の学科で、社会の要求する知識、技術の高度化に対応するため、勉強時間はもちろん実習の課題も多く、授業時間以外での勉強も必要です。
出典:文部科学省 これからの専修学校教育の振興のあり方検討会議(第10回) 配付資料
大学のようなサークルがあまりない
専門学校には、サークルがある学校もありますが、その種類や数が少ない場合がほとんどで、全くない学校もあります。
高校までに取り組んできた部活動での活動を、卒業後も継続したいといった人にとっては、マッチした専門学校を見つけることは、住んでいる地域によっては非常に難しいでしょう。
専門学校に関するよくある疑問
専門学校について調べ始めると、聞き馴染みのない単語や用語がたくさん出てきますし、最も知りたいのはやはり、学費ではないでしょうか?。
ここからは、専門学校に関するよくある疑問についていくつか解説していますので、それぞれ確認してみましょう。
専門学校の学費について
専門学校でもっとも気になる学費。
平均は約128万円で、東京専修学校各種学校協会の令和3年度の調査でこのような数字が明らかになっています。
ですが、この額は「入学金」を入れての金額ですので、2年目以降はこれより約10万~20万円ほど少ない金額が学費に。
また、平均は約128万円ですが、専門学校にはさまざまな分野があるため、学費が平均よりも約50万円ほど高い分野もあれば、約20万円ほど低い分野もあります。
例えば、学費が高い傾向の分野で言えば理学療法やはり・きゅうあん摩マッサージ指圧の専門学校では約180万円ほど。
反対に、学費が低い傾向の分野では法律や介護福祉士が約110万円ほどとなっています。
出典:公益社団法人東京専修学校各種学校協会 調査2 令和3年度 学生・生徒納付金調査
専修学校とは?
冒頭でも少し触れましたが、専修学校とは 「職業若しくは実際生活に必要な能力を育成し,又は教養の向上を図る」学校として昭和51年から創設されています。
実践的な職業教育や専門的な技術教育を行う教育機関として、多岐にわたる分野でスペシャリストを育成するのが目的で、入学資格の違いにより「専門課程」「高等課程」「一般課程」の3 つの課程が。
「専門課程」は主に高校卒業者を、高等課程は主に中学校卒業者を対象とし、一般課程は入学資格は特になしとなっています。
ちなみに、「専門学校」と名乗ることができるのは、専門課程のある専修学校だけです。
また、工業、農業、医療、衛生、教育・社会福祉、商業実務、服飾・家政、文化・教養の8分野があり、専修学校ではそれぞれのスペシャリストを養成することを目的としています。
職業実践専門課程とは?
専門学校のことを調べていると、よく目にするのが「職業実践専門課程」。
企業等と連携して最新の実務の知識・技術・技能を身につけられる実践的な職業教育に取組む学科として平成29年から開始しています。
平たく言うと、専門学校と企業が連携して教育をすることで、ただ勉強をするだけでなくすぐに仕事に活かせる実力もつけることができるカリキュラムが組まれているということです。
そのために、職業実践専門課程では修業年限2年以上、総授業時限数が1700時間と、専門士の条件と同じ時間の授業を受ける必要があります。
専門学校の勉強についていけるか不安
専門学校はさまざまな分野がありますので、それぞれで必要とされる基礎学力が異なります。
やりたい分野で必要な基礎学力が苦手なものだったからと、とても苦労したというケースも少なくありません。
例えば、看護師では仕事で記録を必ず書くため、学校ではレポートの課題があり、入試では小論文や国語が多くの場合出題されます。
専門学校では専門的な内容を主に勉強するので、行きたい分野で必要な教科を事前に知ることと、入学までに学力を上げて置かないと、専門分野の勉強の前に基礎的な勉強からしなければならず、本来学びたいことを学ぶどころではなくなります。
一方で、進みたい分野で必要な基礎学力がしっかりとついていれば、専門的な勉強も分かるようになると言えるでしょう。
専門学校ではない無認可校とは?
なぜ、専門学校と調べていて無認可校の話が出てくるのか。
それは、「専門学校」が「専門学校と名乗っていない」場合があるからです。
専門学校は、専修学校の専門課程のある学科の設置された正規の学校なのですが、法律上、専門学校と名乗らなければならないとはなっていません。
実際に、「○○カレッジ」や「○○学院」などの名称の専門学校も存在します。
一方、法律上、教育を行うことは自由ですので、世の中には塾などがあります。
その内容が専門的であったり、学校といっても差支えのない規模の教育施設も。
しかし、学校は公的機関から認可を受けなければ学校と名乗ることはできません。
ですが、専門学校でも使用されている「○○カレッジ」や「○○学院」と名乗ることはできます。
そうなってしまうと、専門学校なのか無認可校なのか分からなくなってしまいますね。
このとき、一番間違いのない確認方法は、各都道府県の学事課や私学振興課などに電話で問い合わせることです。
専門学校であれば、公的機関からの認可を受けていますので、都道府県へ確認をすれば間違いありません。
専門学校は正規の学校なので行っても安心
専門学校について、本記事をまとめると次のようになります。
・専門学校は公的機関に認められた正規の学校
・充実した授業時間で資格取得に強いから就職にも強い
・条件を満たせば「短大卒」や「大卒」と同等の学歴にもなる
・「職業実践専門課程」は学校と企業が連携して教育
・専門分野の勉強以外に割ける時間は多くない
・学校の恩恵を受けたければ無認可校に注意
専門学校は特定の分野のスペシャリストを養成する正規の学校です。
社会に出てから取得するには時間的にも精神的にも厳しい資格も、授業時間がとても多く設けられているので、合格できる実力をしっかりとつけることができるでしょう。
反面、社会で通用する実力が付く一方、一般的なイメージのように就職や資格取得以外に割ける時間は多くはありません。
専門学校を検討するのであれば、進学する学科が本当にやりたいことなのか、卒業までに手にする資格などが、今後の人生で役に立つのかを事前に考えておくことが重要です。
決意が固まっているのであれば、ぜひ、夢や目的を達成することのできる場所へ進んでいきましょう。